
一番好きな花。
その名もレンゲショウマ(蓮華升麻)。

深山の暗く湿った林床ににとひっそり咲き、
淡い紫がかった艶やかな花、
そして、細い茎がなんともか弱く、
その姿は気品にあふれている。

うつむき加減に風に揺れるそのたたずまいは、
森の妖精、森のランプとも言われ、
なんとも幻想的。
一族一種の日本固有種。
その名の由来は、
花は蓮華(ハス)、葉は晒菜升麻(サラシナショウマ)に似ることから。

花言葉は“伝統美”。

「蓮華」―蓮(ハス)―と言えば、
泥の中に根を張りながら、泥にまみれることなく美しい花を咲かせる姿が、
仏教の教えと一致するとされたり、
清らかな姿などから比喩的な意味において多く用いられており
実にさまざまなところで「蓮華」が登場する。
ギリシア神話では、
祭壇に飾るために花を摘みに森に出かけた姉妹が、
ニンフが変身した蓮華草を誤って摘んでしまった。
代わりに姉が蓮華草に変わってしまい、
「花はみな、女神が姿を変えたもの。もう花は摘まないで。」と言い残したという。
江戸時代には、
遊女を身請けしようとした友人を止めるために、
「手に取るな、やはり野におけ 蓮華草」と詠んだ。
蓮華(遊女)は野に咲いている(自分のものにならない)からこそ美しいのであって、
自分のものにしては、その美しさは失われてしまうという意味だそう。

蓮華という言葉も意味深い。
そんな意味合いでレンゲショウマを見てみると
ますます、妖艶に映り、
儚く感じられるのは、気のせいとも言えない。
