飛紅真の手紙

自然、アート、社会問題を宛てもない手紙のように綴る

茅葺古民家のある農村の原風景~芦川地区~

山梨県は笛吹市芦川地区。

標高1000mのこの土地には、日本有数の兜造りの茅葺屋根の民家群がある。

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過疎化が進むいま、老朽化が著しい古民家や蕎麦粉をひくための水車も役目を終え、原型をなくそうとしている。

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民家の間を流れる水路、石垣。

この土地を歩いていると、自然と懐かしいような、ウキウキするような開放感が湧いてくる。

 

山梨県早川町の国重要指定文化財に登録されている赤沢地区と似ているな、と思った。

さらにこの芦川地区には茅葺古民家が多い気がする。

 

以前、2度ほど芦川地区のある民家に仕事でお邪魔したことがあった。

立派な古民家で、土間があり、大きな玄関。梁にはスピーカーが引いてあり、おもむろに引き売りの放送が流れる。

集落には商店がないため定期的に軽トラックでやってくる『引き売り』で食料を調達するそうだ。

お宅の裏には広い畑があり、大きなトマトやキュウリをその場で収穫してくださり、頂いて帰った。

昔から日本にある農村の原風景がそこには残っている気がした。

 

 

芦川地区を散策がてら、古民家カフェ『農啓庵』に立ち寄った。

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梯子を上って屋根裏の席を選んだ。

障子をあけると、茅葺屋根が見える。

柱に頭をぶつけてしまった。。。

 

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美味しい珈琲をご馳走になった後、『農啓庵』のご主人に教えていただいた。

保存事業の一環で、築300年の兜造り茅葺古民家『藤原邸』を一般公開しているという。

 

 

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入ってみると、中では囲炉裏には火が入り、煙で辺りはくもっていて目が痛くなるほどだった。

 

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囲炉裏やカマドで燃やす雑木から立ちのぼる煙中の有機化合物によって茅葺やその骨組みなどがコーティングされ、又雑菌が駆除されると同時に腐敗処理され、いわゆる“囲炉裏効果” による耐用年数を高めるのだそう。

 

 

地元の方がお茶をふるまってくれた。

古民家の裏には改修された水車小屋があり、現在も動いて製粉している。

 

 

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現在、芦川に残っている兜造民家の多くは、明治時代から大正時代にかけて造られたものということだが、中には18世紀に建てられた家の屋根を改造して兜造にしたものも見られるという。

芦川町には156棟の兜造民家群が残っているが、世界文化遺産にもなっている茅葺屋根の代表地「白川郷」は、59軒の集落で、まわりの五箇山とあわせても150軒。これほどの数の民家が残る地域は全国的にも例がないのだとか。

 

 

『兜造り』とは・・・

光と風を取り入れるため屋根の一部を切り上げたもので、養蚕の盛んであった山梨、長野に多く見られる建築様式。

 

 

このように貴重な兜造りの古民家の維持、保存のため、笛吹市が中心になって国の「重要伝統的建造物群保存地区」の認定を目指している。