飛紅真の手紙

精神看護専門看護師ブロガー、自然、アート、社会問題を綴る。

守られるべきは当事者で、性虐待を起こしたジャニーズ事務所ではない。

今日はずっとアドレナリンが出続けています。

ジャニーズ事務所が記者会見をすると何日も前に知ってから、頭の片隅にずっとありました。

ノーカット記者会見YouTube動画もまだ見終わっていないけれど、一市民として、日本版性暴力対応看護師(SANE-J)として、今日が終わる前にどうしても自分の言葉を「今日」残したいと思いました。勝手に残す義務感に駆られました。

 

経営陣から事実認定、謝罪、経営体制、救済について冒頭で発表されましたが、正直、ガッカリしました。胸のモヤモヤが晴れそうにありません。

「誰のため」の事務所の再出発なのだろうか、非常に疑問です。

数百人以上の性虐待の事実を認めるなら、社名を変えないなら、一旦事務所を廃業して一から出直す道があったのではないでしょうか。

これが、一般企業なら、医療機関ならどうでしょうか。

私は精神科病院に勤務していますが、精神科病院では残念ながら医療従事者による虐待事件が後を絶ちません。

患者虐待で逮捕者を出した病院は、評判が下がって患者数が減る、職員が離職することで病棟閉鎖に追い込まれるだけでなく、厚生労働省から業務停止命令を出される、保険医の資格を剥奪されるなど、病院自体が廃業に追い込まれてきました。

人命を救い、治療やケアを施す病院で虐待が起こるのですが、医療への信頼が失墜して当然です。それ相応の社会的制裁と相応の罰を受けるのです。

それだけでなく、虐待事件が立て続けに起こったことで、精神医療を監督する法律「精神保健福祉法」がなんと2022年12月改正、2024年4月に施行されるのです。

従事者による虐待防止措置が創設されるという、前代未聞の事態。国から医療従事者が信用されていないということが法律にまで明記されてしまうに至ったのです。

数ヶ所の精神科病院の起こした事件のおかげで法律まで変わり、全医療従事者に影響するのです。それくらいがいいと私は思っていますが。

医療機関には毎年監査も入るし、2年に1度診療報酬は改定されるし、めちゃくちゃ国の監視や介入は厳しいってのにさ。

 

ジャニーズ事務所はどうでしょうか。

一体全体、国の介入は今後あるのでしょうか。

国連が調査を行い重大懸念を発表したにもかかわらず、業務停止命令や、経営陣の国会招致・証人喚問などは行うつもりはあるのでしょうか。

国として、人類史上最悪の性虐待事件を起こした民間企業の存続を容認するのでしょうか。

同じ民間とはいえ、大手芸能事務所は守られ方が違うなあ~という思いが禁じ得ません。

未成年を多く抱える民間企業が、数十年も性虐待を繰り返し隠蔽してきただけでも、廃業に値するのではないか、どうかしてるよ!と会見を観て確信しました。

これは、社会通念から考えれば、厳しすぎるなんてことはありません。

重大な社会問題を起こした企業が社名も変えずに残り続けることに、声を上げた当事者も声を上げることができない当事者も、この問題を見続ける国民も、失望は大きいのではないでしょうか。

 

一体誰のため?当事者のため?ジャニーズ事務所の存続のため?

日本のエンタメ業界が世界の常識とかけ離れすぎていて、全く理解に苦しみます。

ジャニーズ事務所の存続を守り続けることで、後世に何か残りますか?

これは、どんな性暴力も許してはならないという認識を大人である私たち自身が刻み込み、社会を変革させる大きなチャンス。

そして日本が他国よりも遅れに遅れた人権意識を見直さなければいけない最後のチャンス。

これでは被害を受けた当事者に真摯な姿勢といえません。少なくとも一市民として私は耐えられません。自分の子どもたちに説明できません。

どうか、子どもたちに説明できる大人の見本を見せてください。

胸を張って自慢できる日本であってほしい!

 

いま読んでいる本。元フォーリーブス北公次氏が1988年に性虐待の告発に至った経緯を知りたくて。↓ ↓ ↓

僕とジャニーズ

 

❃追記❃

はてなブロガーのmanaさんより私の記事をご紹介いただきました。感謝✨

それぞれの立場から考えたであろうジャニー喜多川氏による性虐待問題。個々グラデーションはあっても日本人としてこの問題を「自分ごと」として捉えてほしい!

私はこれからもこの問題をしつこく見続けていきたいと心に誓ったのでした。

manaasami.hatenablog.com