2月24日、大地の再生手法でつくった「水脈」を補修しました。昨年の4月に掘り上げてからそろそろ1年が経とうとしています。
1.水脈を掘り上げる
水脈はただ掘ればいいというのではなく、水脈と地中とをつなげて水や空気を浸透させやすくする必要があります(高田宏臣さんが提唱する通気浸透水脈)*1。土の団粒化と泥こしのために、ポーラス竹炭と、役目を終えた竹支柱やローズマリーの剪定枝を投入していました。
雨によって畑の土が流されるのか、水脈は浅くなってしまっています。畑の水路に土が流亡しないだけまだましか。浅くなっていた水脈の土を掘り上げていきます。畝間よりも水脈を低くしないと、畝間の水が引かないので「水はけの悪い畑」となって意味を成しません。これが結構な重労働。
2.ナメクジとカタツムリ対策
大地の再生にもとづいた水脈を作った当初、折った竹支柱と木炭を投入したことは大失敗でした。バーベキュー用の手のひらサイズのの木炭をゴロゴロ投入したところ、ナメクジやカタツムリの住処となってしまいました。
梅雨時期にそのことに気づき、木炭は昨年のうちに早々に回収しました。竹支柱は1年経っても全く分解が進んでおらず、ナメクジやカタツムリの温床となっていたことにようやく気付き、今年はすべて回収し粗大ゴミとして処分しました。
代わりに、今年はポーラス竹炭(消し炭)と、もみ殻燻炭、稲わら(これらは全部無農薬のものを取り寄せ!)、うちのローズマリーの剪定枝を水脈に投入しました。
3.土をむき出しにしない
掘り上げた水脈の土は、ナメクジやカタツムリの卵などがある可能性もあり、なるべく畝上には上げないようにします。掘り上げた水脈はどうしても土がむき出しになりやすいのですが、できる限り何かの有機物で被覆します。
全体的な仕上がりはこんな具合。土がむき出しになっている畝の部分も、土の乾燥や雨による流出を防ぐ目的で稲わらで被覆しておきます。稲わらは窒素分が高く分解が遅いので被覆にはもってこい。草マルチとして畑の養分にもなってくれます。
日本の農業や家庭菜園では土がむき出しの畑が一般的(むしろ草を生やしっぱなしの畑は“異端”と思われがち)ですが、世界では「リジェネラティブ農業」=環境再生型農業が見直されています。土中の有機物や微生物を増やし、土を活性化させ土の本来の力を活かす農法です。その中のひとつに「土を覆う」という大原則があります。
人間も皮膚で覆われているように、大地も必ず草で覆われています。健康な自然界にはむき出しの土の部分は存在しません。必ず草が生えて土を被覆しようとする自然の営みがあります。リジェネラティブ農業の考え方は、私が愛してやまない「自然農」まさにそのものなので、いまめちゃくちゃハマっています。そのうち記事にしたいと思います。
今年の梅雨や長雨に畑が負けないよう、水脈の力で水はけのよさを発揮してほしいものです。畑を地表面だけではなく、地中との水や空気の呼吸(土中環境)でとらえたり、周りの自然環境との関係(雨の浸透、山や川とのつながり)といった大地の視点でとらえると、面白さが増していきます。
私の目の鱗を何十枚も剥がしてくれた、重要な3つの著作はコチラ ↓ ↓ ↓
①矢野智徳著 『「大地の再生」実践マニュアル:空気と水の浸透循環を改善する』
②高田宏臣著 『よくわかる土中環境』
③ゲイブ・ブラウン著 『土を育てる 自然をよみがえらせる土壌革命』
*1:炭や枝、草などを投入すると糸状菌が働いてくれ、血管が張り巡らされるように土が団粒化し、水や空気が呼吸できるようになります。また、泥こしの効果で土の流亡を防ぐことができます