先日悩んだ末に、私の大好きな場所で開催されたインタープリター養成講座を受講してきました。インタープリターとは、自然や歴史遺産に精通した案内人のことで、自然と人とのつなぎ役(通訳、解説員ともいう)。
私のライフワークでもある、自然とのかかわり。20代に山登りやトレッキングをするようになってから、自然の循環に興味が湧くようになりました。「耕さず、農薬肥料を用いず、草や虫を敵としない」農法である「自然農」を4年前に始めてから、以前よりも自然に対するリスペクトが増すばかり。「美しい自然を見たい」から「守りたい・伝えたい」へと心境が変化していくのを感じます。単に歳とった、ってだけかな(笑)。
1.一番心を突き動かされたこと
この場所に13年ほど毎年欠かさず通い、何よりも心を突き動かされたのは、自然に対する「人のかかわり」。
市民活動として2001年にファンクラブを立ち上げ、全国からボランティアが集まり、高原が森へと森林遷移していかないよう、草刈りや遊歩道の整備、間伐、植生調査などを計画的に続け、ファンクラブは自治体を巻き込んでの地域活動に発展している場所なんです。
美しい自然を多くの人に「伝えることで守る」ために、ファンクラブを運営する世話人)がファンクラブ通信やメールマガジンで発信を続けたり、インタープリターを養成して来訪客にガイドしているところもパワフル。
そして、ファンクラブのインタープリターは、学校教員や会社員、看護師、主婦など、決して専門家ではないんです。「ピア(仲間)」な立場だからこそ案内や解説が素人向けで分かりやすく、ハードルも低く参加しやすいのかも。
2.ワーキングマザーが自然保護活動にかかわるということ
「ボランティア精神」ってよく聞くし、1回の募金や奉仕活動なら誰でも気軽にできるとしても、プライベートや仕事があるなかでずっと関わり続けていくって、「好き」って気持ちが強くなきゃなかなかできることじゃないと思うのです。だからこそ、育児短縮勤務中のワーキングマザーである私は、「自分の首を絞めることになるのでは」と、養成講座を受講すべきかずいぶん悩みました。
養成講座の締切が迫る中、夫にボヤいたら、「いまじゃなくていいんじゃない?」と言っていましたが、そういわれるとやりたくなってくるんですよね・・・!(笑)「いま」である理由を考えたら、意味が確かにあった!ファンクラブを立ち上げた初代メンバーの世代交代が迫り、次にいつ養成講座(今回は16年ぶり開催!貴重!)が開かれるかわからない。人生にはやるべきタイミングがあるということに気づかされました。
3.ワーキングマザーにとっての「サードプレイス」
2週間連続で週末は学会に出かけ、休みの日も研修の準備、有給を取って長男の小学校に絵本の読み聞かせボランティアに行ったり、幼稚園のイベントに参加したり・・・育児と仕事とでもみくちゃになりながらの毎日ですが、それでも「仕事」でも「家庭」でもない「サードプレイス(第三の場所)」が欲しい私。心の底では仕事にも家庭にもしがみつきたくはないのです。一見すると欲張りなように感じますが、忙しいからこそ空しくもなるし、自分を取り戻したいという渇望が沸くのかもしれません。
子どもはどんどん育っていくし、仕事もステージが変化していくので、このクソ忙しい毎日が「ずっと続く」なんてことはありません。気付いたらあっという間に歳を重ね、子どもも巣立って定年退職・・・私は何をしたらいいの~?という置いてけぼり状態は一番空しいし一番避けたい。子どもや労働など誰かから必要とされる期間なんて人生100年時代の中でも短いもんです。サードプレイスは自分で努力して作らなくては、誰も提供などしてはくれません。
4.インタープリターになりたい人たちが多様性ありすぎて面白い
参加者の自己紹介タイムがあり、「自然に憧れて移住してきました」というツワモノが多くて驚きました。複数の副業で生計を立てボランティア活動にも熱心な人、馬を飼うために移住してきた人、美術教師、私と同じ看護師、会社員、リタイア後の趣味・・・本当にバラエティーに富んでいてとにかく面白い。どうしてここにたどり着いたのかその人たちの人生をもっとじっくり聞いていたい。
1700mの高原を歩き回ってガイドできるの?と内心突っ込みたくたるほど、杖をついた高齢の人、高原を登るだけで呼吸が苦しくなる持病のある人もいて、「多様性ありすぎ」「さすがインクルーシブ(包摂的)やな!」(笑)と思ってしまいました。ああ、人間っていくつになっても、病気があったとしても、「自然のために何かしたい」「人のために何かしたい」と思うんだな~すごいな〜と一人深く感心。
いろいろな人たちとの出会いもまた、インタープリテーション(人と自然をつなぐ)活動の醍醐味です。自然が好きでそこにやってくる人たちが面白い!これからどんな人たちに出会えるか楽しみです!