飛紅真の手紙

精神看護専門看護師ブロガー、自然、アート、社会問題を綴る。

「10年に1度の猛暑」で千畳敷カールの高山植物にも驚くべき変化が!!

昨年に引き続き、子連れで中央アルプス駒ケ岳の千畳敷カール(標高2612m)の高山植物に会いに行ってきました!今年は夫も(笑)。

昨年8月5日に行ったらもう秋の花。お花のガイドさんから「ここ数年は温暖化の影響で、見頃は7月中旬」と聞いていたので、リベンジすべく今年は7月中旬を計画していたのものの・・・。

予定前日に長女が夏風邪で40℃の高熱を出し(泣)、予定を1週間先送りして結局7月27日に行くことに!!1週間違うと見られるお花も変わってくるため、「10年に1度の猛暑」といわれる今年の高温でどうなっているだろうかと気持ちは焦るばかり・・・。

 

1.温暖化の影響で高山植物が2週間早く咲く

車、バス、ロープウェイを乗り継いで、朝7時30分に千畳敷カールに到着しました。

「日本一空に近いテラス」といわれるSO・RA・TO・KIテラス

テラスからは富士山や南アルプス連峰も一望できます

テラスの眼前にどーんと広がる、高山帯の山岳風景。この眺望が本当に大好きです。普通なら、長い登山をしないと見られないような山岳風景を、ロープウェイで一気に2612mまで上がってお手軽に見られるなんて!!幼児から高齢者まで楽々訪れることができる、本当に有難い場所だなと思います。

千畳敷カールから2931mの宝剣岳が臨めます

山にかかる朝の月が幻想的。

今年も75分間のガイドツアーを申し込み、講師に教えていただきながらカールを散策しました。高山植物の名前や植生をちゃんと知りたい、幼児や高齢者と一緒にカールを回りたい場合には、保険付きのガイドツアーがおススメです!!

2万年前の氷河期にできた半円状の窪地(カール地形)に150種類の高山植物が咲き誇る

ガイドさんが感じるここ数年の大きな変化とは、「温暖化の影響で、高山植物が2週間早く開花してしまう」ということ。つまり、梅雨ど真ん中の6月中旬から7月中旬が高山植物のピークということになります。雨が多く、散策に来るのも悩んでしまう気候です。今年のように7月からいきなり高温が続くと、一斉に開花してしまうようです。

最後まで雪が残っていた斜面には、チングルマがまだ咲いていました。

高山植物の代表格チングルマのじゅうたん

その他の場所のチングルマはもう、おじいちゃんのボサボサ頭のように綿毛になっています。7月でもう種になっているので、やっぱり高山植物のピークが早まっているなと実感。

チングルマの花後

ウラジロナナカマド

木曽駒ケ岳(2956m)に続く登山道の八丁坂周辺に一面に黄色い花が共演するエリアがあるのですが、一面とまではいきませんでした。

ミヤマキンポウゲ?シナノキンバイ?

高山に映えるハクサンイチゲ

7月の高山植物といえば、クロユリ!!2021年に乗鞍岳畳平で見た以来、3年ぶりにクロユリを見られるか、もう終わってしまったかドギマギしていましたが、何とか間に合ったようです。カール内では2株しか残っていませんでした。

花の寿命は10日と短いクロユリ

数年に1度しか花が咲かないといわれるコバイケイソウ

 

2.池の水が干上がる

ガイドさんが教えてくれた温暖化による影響として、昨年初めて剣ヶ池が干上がってしまったといいます。今年も猛暑で干上がる危険がありそう。

千畳敷カール内にある剣ヶ池

雪解け水がこんこんと沸いています

高山帯の池の水まで干上がるほど、地球全体の夏の気温が上昇しているのです。昔よりも猛暑日がはるかに多くなっているようで、私の住む地域では3週間以上猛暑日が続いていて(史上最長)、まさに危険な暑さ。

池の水が干上がるということは、高山植物の生育にも大きな影響が及ぶでしょう。ここ駒ケ岳に日本で最初の山岳ロープウェイができたのが1967年。当時は高山植物の盗掘や大量の観光客が歩くことで道が荒れ、高山植物が減少していったようです。観光と自然破壊は表裏一体ですね!

今後は、夏の異常な高温による、高山植物の植生変化もありうるかもしれません。私がシニアになったあかつきには、「ああ!あの花がもう見られないなんて!」と嘆いているかもしれません。

極楽平のツマトリソウ