飛紅真の手紙

フェミニスト&ワーママブロガー、自然、アート、社会問題を綴る。

百獣の王はもはや人間?『ライオン・キング』では描かれない、子どもに教えたい人間の残酷さ

『ライオン・キング』はで描かれるライオンは「百獣の王」なんて呼ばれもしますが、動物全体からしたら、百獣の王は人間の方だよねと思ってしまったのでした。今回はなんかちょっと途方もない人類の進化のお話です。

長編アニメ映画のリバイバル上映を観てきたよ。

 

1.もはや百獣の王は人間かもしれない

『ホモサピエンス全史』ユヴァル・ノア・ハラリ著(2016年)を読んで、人類は「火」の使用によってマンモスやディプロトドンなどの大型捕食動物を遠ざけ、捕獲して調理できるようになり、食物連鎖の注意から上位に登りつめていったと知りました。さらに、人類が大陸を移動すると、大型捕食動物は狩られ食べ尽くされ、絶滅してしまったことを知り、「どんだけ食べんねん!!」って、改めて大自然における人類の脅威を感じました。

7万年前の「認知革命」により思考と言語を手に入れ、

1万年前に「農業革命」で人口増加と永続的な定住が可能となり、

500年前の「科学革命」によって地球規模の征服が始まる。

結果的に人類の繁栄に反するように動植物の大規模な絶滅が起こりました。このような人類の歴史を振り返るだけでも、人類こそが「百獣の王」であり「食物連鎖の頂点」だということに疑いの余地はありません。

 

2.もはや動物を超越してしまった人間

自然農をやり始めて早4年目。畑で他の動植物の循環を見ていても、ある種の昆虫が増えすぎると、他の天敵昆虫が駆逐したり、野菜が自ら病気を発生させて生態系のバランスを取ろうとするのです。けれど、人類だけは違います。生態系のバランスをとろうなんて機序は働きません。

農薬や耕運機を使って、いとも簡単に無数の生き物を殺傷し土壌環境を変えることで、食べきれず捨てるほどの野菜が栽培できてしまいます。人間の力って驚異的。環境破壊や動植物の絶滅ができてしまう人間は、もう「百獣の王」ですらなく、「百獣」にも入れてもらえない異次元の生命体なのではないでしょうか。

エイリアン前日譚である映画『プロメテウス』(2012年)では、人類は宇宙にまで進出し人類の起源の謎を探り永遠の生命まで手に入れようとしています。食物連鎖のピラミッドも飛び越えてしまって、もはや動物をはるかに超越してしまった、罪深き存在ではないでしょうか。

エイリアンシリーズの中で一番大好きな作品。人類の欲深さは宇宙規模。 ↓ ↓ ↓

 

3.学校では教えてくれない人類の残酷な進化の歴史

小学生以下の子ども(12歳以下)と観るには『ライオン・キング』は楽しめていいんだけけど、残念ながら厳しい時代を生き抜く教科書にはなり得ません。

むしろ『ライオン・キング』で描かれていない本当の大自然を知る意味で、生物多様性や食物連鎖って何か、百獣の王って本当はどの動物なのか考えるには、『ホモサピエンス全史』が最高の教科書だと思います。SDGsとか、耳障りのいいことを表面的に学ぶよりもよっぽど人間について、命について、環境について考える視点が広がるから。

『ホモサピエンス全史』の映画化版、『ライオン・キング』もとい『アース・キング』みたいな皮肉に富んだ超大作映画が観てみたいです(笑)。子ども向けはちと難しい・・・きっとディズニーの魔法も及ばないほどの残酷すぎる物語であることに間違いないでしょう。