ウン十年生きてきて、オオカマキリの産卵を今日初めて見ました。産卵時間は3時間くらいなので、貴重な時間に遭遇したことになります。草や虫を敵としない「自然農」という農法で畑作りをしてきたからこそ、自然が見せてくれる奇跡的な瞬間に立ち会うことができるのも醍醐味です。
食物連鎖の頂点に君臨する天敵昆虫オオカマキリは、我が家の自然農畑では特に大切にしている存在です。棲み付くようになって3年目を迎え、とうとう産卵の瞬間に立ち会うことができました!
今日は今シーズン最後となる畑の草刈りの予定(9月にしっかり夏草を刈っておけば冬草が生えてくれ、畑の地力をアップさせてくれます)。今朝、夫と「カマキリって産卵そろそろだよね~?産卵場所を残しとかないとね~」と話していた矢先でした。
畑の隅に植えた花盛りのメラレウカホワイトレースに水やりしようとしたところ!
オオカマキリとおぼしき卵を発見!!「もう産んだんだ~」とよく見てみると・・・
あっっ!!!大変だ~~~!!!
オオカマキリが卵にくっついているではないですか。これは大変!!すっごい瞬間に立ち会ったものだ、と飛び上がってスマホを取りに行き撮影。そ~っと近づいてもオオカマキリは微動だにしません。不思議なことに、どんな角度から見てもお尻の先端が見えない!!産み付けている様子が分からないのです。
カマキリの卵ってなんか不思議な形ですよね。コレが調べてみたら超優秀なことが分かりました。茶色の塊は卵鞘(らんしょう)といって厚いスポンジ状の塊の中に200個ほどの卵が産みつけられているそうです。フワフワした麩菓子みたいな形状で空気を多く含むため保温効果が高く、寒さ、乾燥や湿気、衝撃から卵を守ってくれるのです。野焼きにも耐えるそうで、昆虫の王者の卵とくりゃ他とは一線を画しますね。
<オオカマキリの産卵の流れ>
※所要時間2~3時間
❶秋、ススキやセイタカアワダチソウなどの草の茎や木の枝(地上から1m以内)に逆さにつかまる
❷腹部の先端(お尻)から白いフワフワした泡のような粘液を出す
❸粘液を出しながら腹部の先端にある2本の毛(尾毛)で粘液の形を整える⇒卵鞘にスジができる
❹腹部の先端を泡の中に突っ込み、時々腹部を浮かせてかき混ぜるように泡立てながら均等に卵を産み付ける⇒空気を含んだスポンジ状になり、真ん中に空洞ができる
❺白い泡は時間が経つにつれ固まり、茶色に変わる
❻1年の間に1~5回産卵する。寒くなるとエサもないため冬を越さず亡くなる
❼翌年の4月~5月末に幼虫が孵化する
これで、均等にスジ模様があり、真ん中が凹んだ形の謎が解けました!!!
オオカマキリが卵鞘の中にお尻を突っ込んだまま動かないので、しばらく畑作業をしてまた戻ってみると、おっっ!!卵鞘から離れてる!!
しばらく卵鞘の近くにいたオオカマキリ。泡が乾くまでは待つのが本能なのでしょうか。そして、30分も経つとどこかへ行ってしまいました。産んだらそこで終わりなんだな。人間のように子育てはしないもんね。
本日はもう一つオオカマキリの卵鞘を見つけました。昨年と同じ、アスパラガスが生い茂ったあたり。彼女が産んだものかは定かではありませんが。
奇跡の瞬間に立ち会ったことで、カマキリの卵の形の謎が解けただけでなく、驚異の工夫が凝らされていたことを知りました。卵を産みつける位置が高いと大雪になる、なんて説もあるようですが研究者で見解は分かれるようです。
そんな強靭な卵鞘も、寄生虫に寄生されたり、孵化してからも他の虫や鳥に食べられ成虫になれるのは数匹っていうんだから、大自然で生きる厳しさを感じます。
〈めんどくさがり屋の自然農畑レポ〉
今年の夏野菜⇒ミニトマトは8月下旬には実付きが悪くなったため片づけ、オクラも9月に入ると虫にやられて収穫はほとんどできなくなり本日片付けました。ナスとピーマンは今年大豊作でまだまだできているので、頑張ってもらいます。
秋冬野菜に挑戦⇒3年ぶりに宮重大根と聖護院カブを種まきしました。寒いのが苦手なので冬の畑は諦めていたのですが、今年から踏ん張ってみようと思います。