飛紅真の手紙

自然、アート、社会問題を静かに叫ぶ。

増やせ天敵!インセクタリープランツやバンカープランツを増やして生物多様性のある畑へ【自然農の家庭菜園】

「インセクタリープランツ」という言葉があることを、家庭菜園を通してこの歳になって知り、「ほっほ~っっ!」と目から鱗が何枚もベリベリベリッと剥がされた気がしました。天敵昆虫のエサになる虫を増やす「バンカープランツ」は知っていたけれど、天敵自体を呼び寄せる植物を増やすという発想は驚き!何歳になっても学べるってすごい。

インセクタリープランツ=天敵温存植物

つまり、野菜を食べる虫にとっての「天敵」を「誘引」「温存」し、「隠れ家」になる植物のこと。天敵に畑に定住してもらい虫をもって虫を制する!経験から何となくわかっているけれど、言葉にならない暗黙知を一言で形式知へと格上げしてくれるのが、学問の素晴らしいところだな~と唸り声を上げました。

 

1.なぜ虫に悩まされるのか?

単一の野菜だけを栽培していると栽培効率は良いのですが、単一の野菜を好む虫が増えることで、ひどく食べられてしまいます。その結果、農薬使用につながります。

複数の植物の生えるミックスカルチャーな畑では、寄ってくる虫の種類も増え、それを求めて天敵が集まりやすいため、野菜ばかりがひどく食べられることは減り、その結果、農薬は不要となります。

畑の中の生態系のバランス・生物循環(食物連鎖)を維持することで、花や草や虫と一緒に野菜も育てることで、野菜が健康に育ちます。

 

2.天敵の力をうまく活用する*1

肉食昆虫などの天敵は、彼らの「エサ」がなければ寄り付きません。畑に「花」を植えることで天敵を誘引するだけでなく、彼らが捕食する虫が減ったときには花粉や蜜を食べて暮らしていられます。めざせ天敵の定住!です。

花がいつも咲いている畑には、さまざまな寄生バチや狩猟タイプのハチが寄ってきてくれます。いかに天敵にとって魅力的な畑でいられるかが勝負。積極的に天敵を畑に呼び込み、畑で狩りをしてもらいましょう。

ポイントは、随所に長期間花が咲くハーブ類を植えること。畑には一年中花を咲かせておくのが理想です。

また、ヒマワリやソルゴーなど背の高い植物で畑を囲うようことで、ヨソから飛来してくる蛾などの虫も、野菜ではなく障壁になる植物に棲んでくれるので畑からシャットアウトできます。

エンバクやライ麦を通路に春まきするとリビングマルチとなり、天敵の隠れ家になる。畝や通路に敷きワラなどでマルチングしておくと、クモ類やカブリダニ類が増え徘徊して狩りをしてくれます。

 

3.花がいつも咲く畑をめざそう

インセクタリープランツとしては、長期間花が咲くハーブ類やソバなどがおすすめです。

天敵温存効果が高い野菜はオクラ、ニンジン、エンドウです。野菜の種採りのためにトウ立ち(花を咲かせる)させることでも、天敵を誘引できます。

 

ホーリーバジル➡スイートバジルより香りが強く寄生バチが寄ってくる

ボリジ➡ミツバチなど受粉を促進する昆虫を集め花はエディブルフラワーとして食べられる

カモミール➡テントウムシなどの天敵を呼び寄せる

ナスタチウム➡花が長期間咲くので天敵の棲家になり、花はエディブルフラワーとして食べられる

マリーゴールド(カレンデュラ)➡天敵を誘引するだけでなく、アフリカン種は土壌のセンチュウを遠ざける

ソバ➡秋の畑にはソバの花を咲かせておくと天敵を誘引し棲家となる

 

4.我が家の自然農の家庭菜園のインセクタリープランツ

我が家には野良猫除けのために隣の畑との境界にズラリと10株ほど植えたアープローズマリーが4年目を迎え、いまが花盛り。

一年中花が咲くアープローズマリー

ローズマリーの中で耐寒性が最も強く(-5℃)、何の防寒対策もなしに地植えで冬を越します。すぐに枝が込み合いあっという間に大株になるので、たびたび透かし剪定が必要になるのが難点。けれど、いい香りだし、ハーブティーとしても重宝するし、ミツバチを始め多くのハチやテントウムシが来てくれます。

 

毎年、クリムゾンクローバーを種まきしているので、多くのハチやテントウムシがやってきます。ものすごい羽音がするので何かと思ったら、近所で養蜂している人が巣箱をうちの畑の近くに持ってきて勝手にエサ場にするくらい(笑)、昨年は一面に広がる見事なクリムゾンクローバー畑になっていました。

ミツバチのかたまり(分蜂)ができていた

2023年のクリムゾンクローバー

今年はマリーゴールドアフリカンの種を6袋購入し、オクラ・ミニトマト・ナスの予定の畝に種まきしました。アフリカン種は高さもあるようでどうなることやら。

マリーゴールドアフリカン

さらに、ホーリーバジル、ナスタチウムの種もまきました。畑の境界に障壁としてヒマワリも種まきする予定です。夏にはソバもまいてみたいと思います。一年中花の絶えない、虫が飛び交うにぎやかな畑をめざします。

今年初収穫のアスパラ

アスパラにはカマキリが好んで卵を産みます

インセクタリープランツの利用法を知るには、めちゃくちゃおすすめっ

ブティック社編集部著(2023):『改訂版 畑の益虫とその増やし方』 ↓ ↓ ↓

 

完全無農薬で営農している著者が、鋭い観察眼と研究的視点で、畑で虫と付き合う方法を楽しく語ってくれるのがコチラ。すごすぎる〜!後半の畑の虫図鑑も面白いっ! 

小川幸夫著(2018):『農薬に頼らずつくる 虫といっしょに家庭菜園』↓ ↓ ↓

*1:ブティック社編集部著:『改訂版 畑の益虫とその増やし方』