飛紅真の手紙

フェミニストで精神看護専門看護師ブロガー、自然、アート、社会問題を綴る。

20年ぶりのディズニーランドで思う「お金持ちはディズニーに行かない」ということ。

この20年間、ディズニーランドに全く縁のなかった私。独身時代は山や温泉にばかり行っていて、ただ単にディズニーに興味がなかったのと、夫が大のディズニー嫌いということとが重なって、気づけば20年が経っていました。

ところが、長女が幼稚園に進級してからというもの、すっかりディズニープリンセスに魅了されてしまったのです。「(お金が飛んでいく日々が)ついに来たか・・・」と心の中で悲鳴を上げました。

「ディズニーに行きたい!」と目を輝かせ夢見る姿を見て、「ディズニープリンセス好きも幼稚園までだろうし」と、いまこのタイミングで連れていってあげたい・・・と、とうとう決意しました。

夫は結婚当初から「俺は絶っっ対行かない!」と断固拒否してきたのですが、さすがの夫も「運転手なら」と折れ、私一人で8歳と5歳を閉園まで連れ歩くのは無謀なので、1泊2日で両親を招待する名目で子守りを手伝ってもらい、20年ぶりにディズニーランドに行くことになりました。

行ってみて改めて思ったことは、家族連れでディズニーに毎年行っていたら、お金持ちにはなれないだろうな~ということ。

 

1.家族連れのディズニーはとにかくお金がかかる

たかがディズニーランドくらいで何だか大袈裟なようですが、家族連れのディズニーはとにかくお金がかかるので警戒してきました。

妹夫婦は乳児を連れてベビーカーでも行くほどディズニー好きなのですが、「夢の国はマジでお金がかかる」と言いつつも毎年ディズニーリゾートに多額のお金を落としに行きます。一度行っただけでは広大かつ充実したアトラクションにショー・パレードの1/3も制覇できません。そうすると絶対に心残りができるので、「今度はあれに乗ろう」「あのショーを見よう」「あのホテルに泊まろう」と、新たな欲求を充足するために再訪することになるようです。

私のように子どもからせがまれると、「親として一度はディズニーに連れて行ってあげたい!」と思ったが最後、気づけば親の方が童心に返ったように楽しむことになり、親子でディズニーをエンドレスにリピートすることになります。第一子、第二子・・・と続いたら大変そうです。

ディズニーは閉園近くまでショー・パレードを行っているので、ちょっと遠方の客だと「車や電車で帰るのは疲れるし泊まりたい」ということになります。ディズニーリゾート近隣のホテルは1泊朝食付きにもかかわらずとにかく高い。ディズニーに家族連れで行くだけで国内旅行よりも高い旅行代金になってしまいます。

ディズニーに行ったらもう年内は他に旅行する金銭的余裕はなくなります。

ディズニーの経営戦略である、ディズニーが契約するホテルに宿泊すると15分早く入園できる特典「ハッピーエントリー」や、アトラクションやショーに並ばず遊べる宿泊パッケージ「バケーションパッケージ」など、お金さえ出せば優遇される「特別感」という誘惑に飲まれていきます。

 

2.最近のディズニーの高級路線

今年10月1日より混雑解消目的で変動価格を導入したオリエンタルランド。ちょうどディズニーランドに入園したのがハロウィーン期間の土曜日だったため、大人10900円という史上最も高額なチケット代を経験しました。大人3人子ども2人でチケット代だけで計43900円!!ランドとシー両方行ったとしたら87800円!!これだけで温泉旅行に行けそう。

これでは家族で気軽に「ディズニー行こ~」にはなりませんし、子どもの「行きた~い!」にひょいひょい付き合ってはいられません。

驚いたのが、2022年から導入開始されたディズニープレミアアクセス(DPA)。ファストパスの制度は2020年から無くなっており、待たずに乗れるのはこの有料サービスだけ。つまりお金で時間を買うということ。チケット代だけでも高いのに、並ばずに遊ぶためにはまだお金を積まなくてはなりません。人数が多ければその分かさみます。

2020年に新しくできたアトラクション“美女と野獣魔法のものがたり”は、大人も子どもも一人1回2000円。5人で計10000円。

アトラクションの所要時間は8分、平均待ち時間は約110分。アトラクションに乗り終わるまでを2時間と考えると、1時間を一人1000円で買うという計算になります。

1時間1000円の余暇って、日常生活で考えれば高いと思ってしまいますが、ディズニーランドにいる限られた10時間中の1時間と考えると「安い」と思ってしまうのが、ディズニーの魔力。

同じく2020年にできたアトラクション“ベイマックスのハッピーライド“は、所要時間1分30秒で一人1回1500円。5人で7500円。短~いのに高~い!

パレードの席の確約もDPAの対象で、一人2500円。ディズニーランドは1日に3回パレードがあるので、すべて席を取って観ようとすれば一人7500円。5人で22500円。

こうした高級路線化したディズニーも、1度ならば「いい体験」で終わるのでしょうが、一度の入園ですべてのアトラクションに到底乗れないので、また来園する度にこうした超人気アトラクションに有料で乗って優越感を味わいたくなるのでしょう。

一方、オリエンタルランドは、決算説明書で、アトラクション・ショー収⼊増により、客1⼈当たり売上⾼が増加したと説明しています。DPAの対象アトラクション・ショーを増やしたことによるオリエンタルランドの利益は大きいのです。

 

3.お金持ちはディズニーに行かない?

子どもが望むまま、親の行きたい気持ちのままにディズニーをリピートしていれば、確実に家計を圧迫するでしょう。チケット代やDPA、宿泊費だけでなく、交通費、食事代、グッズやお土産代もかかります。そしてインフレでどれも値上げ値上げ。

ディズニー好きはお金持ちになれなそう・・・!!!という心の声が止まりません。もちろんお金持ちのディズニー好きもいるのでしょうけれど。

そして、そもそもの話、お金持ちといわれる人々は無駄な浪費を防ぎ上手に倹約するので、お金を落とす無限ループを提供するディズニーには寄り付かないのではないか・・・とも思います。

実際、お金持ちの方々はレジャー施設にはあまり行かない、余暇やレジャーにお金をかけない、という逸話を耳にします。お金がかからない極上の体験をいろいろ知っている、ということもあるのかもしれません。

お金持ちは案外シンプルで質素な生活をしていたり、消費よりも投資を重視したり、インプットよりもアウトプットだったり、お金をかけて楽しむよりも誰かを楽しませることに長けているのかもしれません。

オリエンタルランドの総資産は1兆2千億円。毎年グッズやショー・パレードを更新し、数年ごとにアトラクションやラグジュアリーなホテルを刷新することで、顧客が飽きないエンターテイメントを提供し、入園者は毎年増え続けているそうです。

オリエンタルランドの経営戦略に流されるのではなく、上手に見極めつつお財布のヒモをしっかりと締めながらディズニーと付き合うのがよさそうです。

ちょっと引き気味に冷静な気持ちでディズニーランドについて考えてみるのも、いいんじゃないかと思います。参考になる文献はコチラ ↓ ↓ ↓

荒井克也著:『ディズニーランドの社会学』

 

「消費する」という観点から、ディズニーランドについて考えた記事はコチラ。↓ ↓ ↓

ほぼ初心者の私が、効率的にアトラクションに乗りまくるという戦略を立ててディズニーランドでの一日を過ごすことに成功した記事はコチラ。↓ ↓ ↓