飛紅真の手紙

フェミニストの精神看護専門看護師ブロガーが、自然、アート、社会問題を綴る。

看護師の転職にひそむ「セルフネグレクト問題」

従業員の犠牲の上に成り立つ「ブラック企業」ならぬ「ブラック医療機関」で、苦しむ看護職(看護師・准看護師・助産師・保健師)は多く存在します。

常に「売り手市場」の看護師は多くを語らずして退職するため、ブラック医療機関は体質改善しないまま存在し続けます。

 

私は現在、精神看護専門看護師(CNS)という資格で精神科病院の中の独立ポジションとして(病棟や外来に属さない)働いています。

職員向けの「相談室」を開設し、そこで日々さまざまな相談を受けていますが、転職を考える看護師は多くいます。

 

先日、ブラック医療機関で働いてきた友人が悩んだ末に退職を決断しました。

友人は長時間労働や休日出勤が常態化した職場で3年続けましたが、心身共に疲弊しきって、次の職場を探す気力は残っていない、何がしたいかもわからない、と話していました。

 

転職を考える場合、次の職場を探しておくのがセオリーですが、こういったバーンアウト状態(燃え尽き症候群)では正常で冷静な判断は難しくなってしまいます。

退職後は十分な休養を取って心身をいたわり、自分のことを考える時間を十分に取ることが最優先と考えるのですが、それを世間が許さない、考える時間もないまま転職が強いられるというのが実情です。

親世代や家族からの「辞めグセがつくよ」「天職なんでしょ?」「早く稼がないと」「選ばなければどこでも働ける」といったプレッシャーを受けることが多い。

看護師もまた献身的、自己犠牲的な人が多いので、「私が働かなきゃ」「働いていないと不安」と自分を追いつめ、自分自身に鞭打って転職するのです。

 

親のため、家族のためと、たいして興味はないのに高収入だという理由、手に職をつければ一生困らないという考えから看護師を選ぶ若年層、一般企業から看護師に転身する中年層も多くいます。

そのような割り切って看護師になった人の中には、時間の経過とともにやりがいを見出す人もいれば、違和感を感じつつも義務感で働き続ける人、忙しいことを理由に考えないまま50代を迎え身動きが取れない人もいます。

周囲から言われるがままに看護師を選んだ人は、

「職場が合わないのでは」と不適応の理由を自分以外に探して転職を繰り返す人、

「好きではないし向いていないけど生活のため」と、ライフワーク(好きな仕事)ではなくライスワーク(食っていくための仕事)として割り切る人もいます。

 

そこで問題だと考えるのが、どこも人手不足ですぐに転職できてしまうために、

これから先の人生で本当に自分が何をしたいのか、自分にどんな職場や働き方が合っているのかを考える時間を持たないまま、転職を繰り返すということ。

転職が問題なのではなく、「誰かのため」という大義名分で思考停止し続け、自分についてあまりにも考えないことが問題なのです。

献身や自己犠牲というと聞こえがよいですが、セルフネグレクトなのではないか?と思ってしまいます。

転職を繰り返す看護師、バーンアウトしてしまう看護師には、セルフネグレクトの問題が潜んでいるのではないかと思うのです。

セルフネグレクトとは、自分自身への無関心や自分自身の世話の放棄により、極端な自己肯定感や心身の健康を損なうことをいいます。

自分自身への虐待とみることもでき、セルフネグレクトと高齢者のごみ屋敷問題が研究されています。

データはどこにもないのですが、ごみ処理業者や片付けの専門家から「看護師に汚部屋やごみ屋敷が多い」という指摘を聞いたことがあります。

仕事が忙しすぎる、タイムリーにごみ出しができないなどの物理的理由もありますが、

共感による疲労やバーンアウトに陥り、自己肯定感が極端に低く、もはや自分に使うエネルギーが残っていない状態に陥っていると考えます。

自分を大切にできないと他者も大切にはできない、というのが私の支援者としてのポリシーです。

 

専門職から別の職業に転身するというのは、勇気がいることです。

国家資格・専門資格で保障された業界から、実力主義の業界で勝負することになります。

また、専門資格を取得した時点で狭い業界で一生働かなければいけないとか、養成機関で勉強し資格取得に費やした時間やお金がもったいないと考えるサンクコスト、といった心理が働きます。

しかし、人生100年時代に、20代で選んだ職業を50年以上続けなければいけないなんてことはありません。

第二の職業人生があっていいと考えています。

チャレンジを止める根拠はどこにもありません。

 

転職を考える人、転職予定の人にやってしいのが、サバティカルタイム(使途用途のない休暇)を取ること。

間髪入れずに次の職場で働くのではなく、3か月~1年くらい休暇を取って心身のリフレッシュをしながら自分と対話する時間をつくることです。

自分は何が好きなのかに感覚を研ぎ澄ませるのです。そんなことできない、そんなお金はない、と思うかもしれませんが、いったい誰のための人生でしょう???職場のため?患者のため?家族のため?社会のため?

自分自身のためです。

まずは自分が元気で満たされていないと、家族すら大切にできないのです。

 

サバティカルタイムでは思い切り好きなことをするもよし、トライアル的にいろんな興味がある仕事をしてみるもよし。

かくいう私も、病院を退職して大学院に社会人入学するというある意味サバティカルな2年間を過ごしました。

訪問看護のアルバイトをしたり、旅行したり、恋人を作ったり(現夫)、大好きな精神医学を思い切り勉強したり、凝縮した2年間で、生まれ変わったような感覚でした。

最低でも40年以上続く職業人生を、楽しみ試行錯誤したいと思うのです。

自分と対話し、自分を思い切りいたわりながら。自分をいたわれるのは自分しかいません。思考停止やセルフネグレクトでなく、自分との対話といたわりを!

 

どれだけ自分の時間を持ち、自分がやりたいことに時間をつかうことができるかを追求していきたい。

まずは自分と対話する時間をたっぷりと。

時間の作り方、時間リッチになる方法はどれもこれも本質をついています。

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