飛紅真の手紙

フェミニストで精神看護専門看護師ブロガー、自然、アート、社会問題を綴る。

働く親には試練の夏。コロナ5類移行の影響で感染症のデパート化した幼稚園でインフルエンザ罹患と予防投与。

昨日、幼稚園に通う5歳の長女がインフルエンザA型と診断されました。熱を出して休むのはこの夏これで3回目。如何せん多いです。

インフルエンザの威力はやっぱりすごい。

朝、37.3℃の微熱(その他は喉の違和感と軽い咳)からその夜には40℃まで上昇する激烈さは、その辺の風邪とは異なることを実感します。

5月の連休明けにコロナが5類に移行し、世の中の半分以上の人がマスクをしなくなり(肌感覚)、働く親としては「試練の夏がやってきた」いう感じです。

2020年から始まったコロナパンデミックで始まったマスク生活&手指衛生生活。

これまではマスクなんて幼稚園児は1時間と持たなかったのに、群集心理は子どもまで変えるのです。なんと、幼稚園児も小学生も、1日マスクを外さないでいられるようになった(なってしまった)のです。大人なんて「マスク依存」ですからね。

思えば、子どもたちもコロナに翻弄された3年間でした。そう考えれば、コロナが5類に移行してマスク生活から子どもたちが解放されたことは喜ぶべきこと。幼稚園(前身が幼稚園の私立認定こども園)に通う長女は昨日までのマスク生活など忘れたかのようにマスクを外したまま通園するようになりました。

小学3年の長男はさすがに周りを気にするのか、5類になった日の様子を聞いてみると「マスクしていない子は(25人クラスで)2人しかいなかった」という具合。

夏になるまではほとんどの子がマスク、うちは長男の意思に任せていたところ1ヶ月くらい経ったところでマスクを外して通うように。小学生もややマスク依存気味だったのかもしれません。

だが、マスクを外した影響は着実にやってきました!

まあ、コロナ以前の幼稚園に戻っただけ、子どもは毎週のように風邪を引くという事実に引き戻されただけ、といってしまえばそれだけなのですが。

7月に入ってプールが始まるとやってくるのが夏風邪。プール熱、RSウイルス、ヘルパンギーナ、手足口病などなど。7月に長女は2回も高熱を出す夏風邪に罹患しました。

治って登園したらまた別の夏風邪に罹る、子ども同士で別種類の夏風邪をうつし合う、という負の連鎖へ突入(泣)。この3年間、厳しい感染対策で子どもたちはうそのように風邪を引かなくなっていたので、親が泣きたいほどのあのつらさを忘れていました。

2回目の夏風邪は片顎が腫れ始めたので「おたふく?予防接種したのに・・・」と思っていたら、38~39℃の高熱が1週間も下がらず、ぐったりして食欲もないのでさすがに心配していると、両目が充血してきてプール熱(アデノウイルス感染症の一種で夏のインフルエンザといわれる)と判明。

そんなこんなで7月は半分も幼稚園に通えていません。やれやれ、もう夏風邪は勘弁・・・と思ったところで、スクールカウンセラーでフリーランスの夫のオフシーズン開始とともに、長女も自主的に幼稚園を4週間休みました。

「教諭が交代で夏休みを取るのでお盆の週はなるべく休んでください」と幼稚園から毎年釘を刺されるのはわかっているので(医療従事者にはお盆休みなどないと言いたい!)、空気を読んでこっちから自主的に休ませています。

幼稚園に通わなくなると、ピタッと夏風邪も引かなくなり、元気な夏休みを過ごしました。

そして、8月28日に幼稚園の2学期が始まり、夏休みを過ごしていた園児も全員集合した途端、「インフルエンザが集団発生しました」「コロナも出ました」という地獄からの(幼稚園からの)メールが・・・

8月31日に37.3℃で「平熱36.5℃よりも高い。嫌な予感」と胸騒ぎを抱えつつも、幼稚園に長女を送り9時に出勤して10時過ぎに幼稚園から「38.3℃まで熱が上がってきたので」とお迎え要請の電話。

「幼稚園にわざわざ感染症にかかりに行っているようなもんじゃないか!」

と、働く親が叫びたくなる定番のセリフです。もうこれで3回目だよ!幼稚園に行ったらなぜすぐに感染症にかかるの!いい加減にしてよ!といいたい。

1ヶ月近く自主的に夏休みを取り、ようやく登園したかと思ったら4日目にして季節外れのインフルエンザかいっ!!ズコーーーッ

と、もう半ばヤケクソな粗いツッコミ(苦笑)。

10時から看護師長と辞めそうな新人看護師のフォローについての深刻な面接が始まったばかりで、さすがにまた今度・・・とも言えず、「ああもういいや!」と面接を再開して短めに終了させ車をすっ飛ばし、11時過ぎにようやく幼稚園に到着するかいなかというところで、

「お待ちしているのですが、何時に着きますか?」という幼稚園の担任からまだかよと催促の電話が。

仕事が始まって1時間だよ?それでいますぐ迎えに来いもかなりの無理ゲーだけど、さらにお迎え途中で催促の電話をよこすって、それでも幼稚園の機能果たしてるっていえるの???

といいたいのをグッとこらえて、

「遅くなってすみません、あともう少しで着きますから・・・」とちゃんと謝る自分に自己嫌悪。電話で1回謝ったんだからお迎えの時にはもう絶対に謝らないぞ!と意地になる私。こうなると幼稚園が敵に見えてくるのは私だけでしょうか。

熱を出している子どもを放って何時間も迎えに行かないわけじゃない。たったの1時間も待ってはもらえないなんて。幼稚園のマンパワー不足もわかりますが最低人員は確保しているはず。子どもを預かってくれる場所は働く親の味方でもあるけれど、こんなことは日常茶飯事なので何度幼稚園を敵視したことでしょう・・・。

その夜は40℃まで発熱し、私はほとんど寝れずに看病。翌朝、かかりつけ医の小児科医に電話して検査してもらってインフルエンザA型の診断が下る。

4年前にも長女が幼稚園でインフルエンザB型に罹ったところ、私は職場でタミフルの10日間の予防内服を処方してもらい、0歳の長女に一日中密着して授乳もしながら看病したけど見事にうつりませんでした。「俺は薬なんて飲みたくないし~」と気楽な夫はその数日後しっかり39℃の高熱を出してインフルエンザに苦しみ、「ほれ見たことか」と私から冷笑される始末。

そんな経験があったので、「予防内服を処方できますか?」とかかりつけ医に聞いたら、「予防投与なんてボク出したことないよ!お母さんがうつったら薬飲んで寝て治すしかないじゃん。そんなに心配しないで~!」と、一笑に付されました・・・

あのー。こっちは働いているんですけどー。

逆に、他の親は予防投与を希望しないわけ?予防できる手段があるのに予防せず、おそらく仕事を休んで看病に徹し絶対に家事もするであろう母親は、最終的に子どものインフルエンザがうつっても薬飲んで寝てろと?

出たっ!最終的に母親が犠牲になればいいじゃん説。

それって、“”避妊ができる手段があるのに避妊しないセックスを強要させられる構図“と似ている!と思ってしまったのは、たぶん私が院内感染予防に徹しなければならない医療従事者で、フェミニストで、性暴力対応看護師の資格を持っているからでしょうか・・・?被害的すぎるかしらん。

かかりつけ医に「自費になるし高いよ?」「そこまでしなくてもいいんじゃないの?」とダメ押しされますが、「いやいや、職場では予防投与が推奨されていますし、1回予防投与してもらい予防できたので」とかかりつけ医を説得。

「う~ん、まあお母さん病院勤務だからね~」と先生なりに納得のいく答えを探しながら70歳をゆうに超えた小児科歴初めての予防内服処方に至ったわけです。

世の多くの母親はインフルエンザの予防投与もせずに、仕事を休んで子どもを看病しているのかと思うと、ちょっと気が遠くなりました。

さすがに自費だと診察料と薬剤料で7千円程度かかるので、今回も夫は予防投与はせず私がタミフルを10日間飲みながらメインで看病し、夫はその他の家事育児をするということに決めました。

予防投与が自費って、世知辛い世の中ですね。子どもは学級閉鎖になるほど毎年インフルエンザにかかるとわかっているのに(ワクチンもしてます)、自宅では完全隔離やマスクなんて期待できないにもかかわらず、看病したらうつるリスクがあるのに母親なら我慢せよ!?

節約したい子育て世代は「高いからいいや」「うつらないかもしれないからいいや」とわざわざ自費でまで予防投与は選ばないでしょう。

予防内服して仕事も家事も看病もすべきだ!といいたいわけではありません。ただ、その選択肢も知らない、選べないでリスクに晒されながら母親が頑張る構図がつらいといいたいのです。

また、緊急避妊ピルのように100%近い効果があるわけではありません。副作用もありうる内服薬を予防的に服用することに人それぞれ考え方もあるとは思います。

 

今回のインフルエンザ罹患で、ジェンダーバイアスや幼稚園の不寛容さ、働く親の居心地の悪さなど、さまざまなことを考えさせられました。

この国で女性が子どもを産んで働こうとすると、ただそれだけで(悪いことはしてない)何度も何度も心をくじかれます。

幼稚園を責めても仕方ないってわかってる。感染症は誰のせいでもない。怒りのやり場がないとはこのこと。

はなから諦めて「そういうもんでしょ」くらいに感じないようにして育児をしながら働く女性はごまんといるはず。少なくとも私はこんな日本に変わってほしいので我慢はしないぞ。してなるものか。言っても変わらないってわかってるけど、言葉にし続けたい。

我が家は2022年末に壮絶な一家全員コロナ感染を経験しました。治療薬があるって素晴らしい、と今回感じました。長女はタミフル内服の翌日には解熱しました。↓ ↓ ↓

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