飛紅真の手紙

フェミニストの精神看護専門看護師ブロガーが、自然、アート、社会問題を綴る。

歴史が動いた瞬間。ジャニーズ事務所の性虐待事実認定の重さ。

ジャニー喜多川氏による性虐待関連のすべての記者会見は、ノーカットでYouTubeで見るようにしています。

ニュースで一部だけを切り取られて取り上げられたものを観たくはないし、話し手の言葉を自分の耳ですべて聞いて考えたいからです。

8月29日の外部専門家による再発防止特別チームによる調査結果報告会見は、普段付けないTVニュースもまじまじと観てしまうほど衝撃的でした。私が思うに、まさに「歴史が動いた瞬間」でした。

何しろ、加害者死亡後に外部委員によって性虐待を事実認定した、ということが画期的だと思ったからです。本来加害者が生存していれば刑事告訴できる性犯罪事件も、加害者死亡では罪に問うことができません。

性虐待があった事実を事実認定できるのは、残すところ「民事訴訟」だけです。

民事訴訟という長い道のりを経る前に事実認定されたということは、「自分の話を信じてもらえた」「実名で声を上げたことが報われた」という当事者のエンパワメントや保証につながるのではないか、と思うのです。

外部委員会による調査には賛否両論あり、国連からも「透明性・正当性に疑念が残る」と指摘もありましたが、事実調査と再発防止策の検討、社会への説明責任という意味では私は外部委員会の調査に期待を持ち続けていました。

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今回の報告内容は、一刀両断のぶった切り具合で、本当に鮮やかでした。外部の目が入ることの意義は大きいと再認識しました。

国連から釘を刺されたことで外部委員会側はジャニーズ事務所側に忖度しにくく(そもそも忖度の必要もないのだけれど)、より「言いやすくなる準備が整った」のではないか、とも思いました。

メディア側も、「事実認定された」とあればもう、大きく報道しない選択肢は取れませんし、メディア側の加担も指摘されたわけで、いよいよ逃げられなくなります。

外部委員会委員長の林眞琴元検事総長は存じ上げませんが、少なくとも精神科医の飛鳥井先生と臨床心理士の齊藤梓先生は性暴力被害者臨床の第一人者なので、「さすがすごいメンバーを揃えたな、期待大」と思っていました。

今回の事実認定は本当に重要な意味があると思います。たとえ加害者死亡後であっても、実名で被害を訴え、当事者が国連に掛け合い、当事者たちが結束して団体を結成すると、歴史を動かすパワーを発揮することができるんだ、という希望が持てました。

そして、SNS社会となったいま、国民の声が可視化されるようになったことも大きいのではないでしょうか。時には誹謗中傷などマイナスに傾く力も大きいですが、社会を変えよう、声を上げようというプラスのムーブメントにもなりえます。

この事実認定が一つの大きな通過点になったはず。

そして、当事者支援や事務所再建という新たな段階に進まなければなりません。

経済的・社会的立場を利用した子どもへの性虐待にどう向き合っていくか、社会の変革はまだまだこれから。

学校や塾や組織といった社会的な場での性虐待はもちろんですが、最も深刻で重大な「家庭内の性虐待」をどう撲滅していくか。これは社会の最小単位である「家族」に踏み込むまさに新たなステージです。「家族の問題」を家族任せにしない。それなくして、性暴力のない世界は実現しないのではないでしょうか。