「私ってショートスリーパー?」と勘違いするくらい「長く眠れず早起き」体質な私。大好きな睡眠博士の柳沢正史先生が出演するYouTubeを見ていたら、「朝型か夜型かは生まれつき決まっている」「ショートスリーパーなどほぼいない」ということに驚きました。
そこでさっそく自分の朝型夜型傾向=「クロノタイプ」を調べてみることにしました。
1.子どもの頃から早起きだった私
子ども時代から「長く眠れず早起き」の片鱗はありました。家族の誰よりも早く起きていることが多く、朝がめっちゃ強いのです。
大学時代は試験勉強などで夜更かしはありましたがそれでも「完徹(完全徹夜)」「オール」が苦手・・・。徹夜するとすぐに体調を崩し見事に口唇ヘルペスが出ます。
病棟看護師時代は三交代制夜勤を6年間経験しましたが、準夜勤で深夜1時に帰宅しても昼まで眠れず、深夜勤で朝9時に帰宅してもその晩に寝て翌朝ちゃんと起きないと(つまり朝型に戻さないと)気が済まないタイプでした。
2人の子どもを計5年間母乳で育てたことで2~3時間おきに起きる癖もつき、現在でも夜間トイレに2回起きる習慣は修正されません(歳かな?笑)。さらに両脇に眠る子どもたちの寝具や寝相を直したりでこまめに覚醒。
精神医学上は、なかなか寝付けない「入眠障害」、途中何度も起きてなかな寝付けないのは「中途覚醒」、いつもの起床時間より2時間以上早く起きるのは「早朝覚醒」ですが、私の場合睡眠障害の自覚はなく、睡眠薬の使用経験もありません。
精神科急性期閉鎖病棟で働いていた頃から、患者の不眠の苦しさを目の当たりにしてきました。多い人では睡眠薬を3回追加しても眠れず苦しむこともあります。「朝まで眠れなかったらどうしよう」という不安でますます眠れなくなるほど、睡眠には心理的影響が大きいのです。
結局のところ私は、
21時30分就寝、5時起床(4時~5時に覚醒)
という睡眠パターンに落ち着いていますが、実質7時間眠れているかどうか、という感じ。
2.平均睡眠時間が世界一少ない「睡眠不足大国」日本
睡眠はアップデートが盛んな分野。睡眠研究の最先端をゆく柳沢正史先生監修の『ニュートン式 超図解 最強に面白い!睡眠』は、非常にわかりやすく最新知見が噛み砕かれていました。
OECDの2018年の調査によると、OECD加盟国25か国の平均睡眠時間は8時間25分、日本の平均睡眠時間は7時間22分。諸外国に比べ日本は1時間も睡眠不足!!!
働き盛りは朝早く出勤して残業して帰宅は20時、21時・・・という長時間労働が常態化していて就寝時間が遅くなるのは必然的。子育て世代は授乳や夜泣き、トイレに起こされる、夜尿対応などで慢性的な睡眠不足です。特に母親がワンオペ育児だったりするとさらに深刻です。子どもの睡眠不足も深刻で、部活や習い事・学習塾、親の就寝時間が遅いことで必然的に子どもの睡眠時間も短いのです。もはや日本人の睡眠不足は、長時間労働や子育て負担が大きいという日本社会の構造的問題。
「睡眠時間が7時間の人の死亡率が最も低い」
「睡眠時間が短いと肥満になりやすい」
「睡眠時間が短い人ほど認知症リスクが高い」
という科学的根拠もあるほど、睡眠不足は命を縮めます。しかし、「睡眠時間を長く取ればいい!」「7時間寝ればいい!」という安易な発想では睡眠の問題は解決しないようなのです。
3.自分のクロノタイプに生活を合わせるのが最も健康的
「早寝早起きは三文の徳」というテッパンの言い伝えがありますが、最新研究では「個人差がある」と考えるのがよさそうです。
クロノタイプが朝型の人は「早寝早起き」が最も体調がよくパフォーマンスも高いし、夜型の人は「遅寝遅起き」がベスト。つまり自分のクロノタイプに日中活動のほうを合わせる、というのが動物として自然であり、理想の姿ということです。
しかしながら、日本社会は、朝練、朝活、早朝課外、長い通勤、早朝出勤などなど、で夜型の人には厳しい社会です。フレックスタイムやリモート勤務が選択できるのは一部の大手企業だけ。学校も仕事も「朝から」が前提で「朝早いこと」への同調圧力がすごい。夜型の人に対しては「なまけてる」「夜更かしするからだ」と風当たりが厳しい。しかし夜型の人が無理して早起きしたり、朝型の人が無理して夜更かしすると、睡眠障害、起立性調節障害を引き起こし不登校、適応障害で休職、というメンタルヘルス不調に陥ります。
反対に朝型の人にとっても、残業が当たり前、飲み会やオンラインミーティングなど夜の活動に参加して一人前、魅力的な活動は夜が多いという「眠らない日本社会」は苦行でしかありません。
4.クロノタイプは遺伝子で決まり年齢で変わる
睡眠時間5時間以下でも健康な「自称ショートスリーパー」の人(笑)がいますが、数百人に1人と極めて珍しく、ほとんどは勘違いで「ただの寝不足」「昼間に居眠りしてるだけ」です(笑)。
ショートスリーパーは遺伝子で決まる生まれつきの体質なので、努力やトレーニングで変わるものではありません。やはり思い込みに偏らずに自分の本当のクロノタイプを知るのが超重要です。生まれつきのロングスリーパー(10時間以上寝ないと調子が悪い)もいますが、睡眠時無呼吸症候群などの睡眠障害のために睡眠時間が無駄に長くなっている場合もあるので要注意。
クロノタイプは年齢でも変わるらしく、
・赤ちゃん~学童期は朝型
・思春期~30代は夜型
・40~50代以降は朝型
高齢になるにつれ人は朝型に戻っていくのは経験的に納得ですが、若年層を早寝させ早朝にたたき起こすのは逆効果であり、朝早い日本の学校のあり方は変えるべきだし、親の労働時間も朝を遅くして短くする必要がありそうです。子どもは朝型かつ10~11時間の長い睡眠時間を必要とするので「早寝早起き」が推奨されます。
5.自分のクロノタイプを判定できる朝型夜型質問紙(MEQ)
睡眠博士の柳沢正史先生が「結構正確です」と紹介されていたのが「朝型夜型質問紙(MEQ)」です。睡眠習慣に関する20の質問に答えるだけで朝型か夜型か判定できるもので、日本語版MEQは信頼性・妥当性が証明されています。参考文献 ↓ ↓ ↓
【文献】石原金由,宮下彰夫,犬神牧他(1986):日本語版朝型ー夜型(Moningness-Evningness)質問紙による調査結果,心理学研究,57(2),87-91.
ネットでも10分程度で診断できるということでやってみたら、衝撃の結果に・・・。
超朝型!?
なんだそれーーーーっ!!!
衝撃と同時に子どもの頃から「長く眠れず早起き」という疑問が解消したようで、ものすごく納得してしまいました。これは統計学でよく見る正規分布の外れ値・・・まさに私は「外れ値の人間」だったみたいです。
ちなみに夫にもやってもらったところ・・・
ごくごくフツー(笑)の「中間型」でやや朝型寄り・・・。夫の方が私よりも一足遅く寝て一足遅く寝ているので納得です。夫婦で超朝型/夜型とかじゃなくてよかった~。まったくもって生活リズムが合わなそう。
さらに、睡眠障害じゃないかどうかもネットで判定してみたところ、問題なし。
さらにもう少し詳しく自分のクロノタイプを調べることのできるミュンヘンクロノタイプ質問紙(MCTQ)で判定してみたところ・・・。
「強い朝型」・・・。
私は根っからの朝型体質なようです。
クロノタイプから自分にあった睡眠スケジュールも提案してくれました。
えっっ・・・睡眠時間5時間半でいいの?
現在7時間寝ていて調子がいいと思い込んでいましたが、必要睡眠時間が6時間を切っていいという、ややショートスリーパー気味の提案・・。確かに、睡眠時間5~6時間でも体調を崩さず元気ではありますが。朝型・超朝型の人というのは、睡眠時間も短い傾向(ショートスリーパー気味)だそうです。逆に夜型の人は睡眠時間が長めになるのだそうです。
6.日本人は大体みんな時差ボケ状態
ちなみに私の睡眠負債も算出してみました。
私のところ睡眠不足は1日9分ですが、これが仕事が忙しくなってきて持ち帰り仕事が出てきたり、子どもが熱出して看病が必要になったりすると一気に睡眠負債が貯まるんですよね・・・。
「社会的ジェットラグ」とは社会生活の中での時差ボケ状態のことで、平日と休日のクロノタイプのズレのこと。睡眠負債が貯まると休日に寝だめしがちですが、平日の数時間の睡眠不足は海外旅行並みの時差ボケ状態になっているのです。
時差ボケをなくすためには、以下が重要です!
・平日休日に限らず睡眠時間を一定にする
・平日もできる限り睡眠時間を確保する
・20分を超えない昼寝で少しでも睡眠時間を確保
時差ボケ状態が慢性化すると、肥満や生活習慣病、糖尿病、うつ病を引き起こすリスクが高まります。
自分のクロノタイプを正確に知って、それに合わせた生活リズムをつくってけば、日中のパフォーマンスや健康寿命が上がり長生きできるということです。
そしてなにはともあれ・・・日本人は一刻も早く寝よう!!!
引用元:「NCNS精神生理研究部 睡眠医療プラットフォーム」
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