飛紅真の手紙

自然、アート、社会問題を静かに叫ぶ。

自然農3年目。水はけをよくする「大地の再生」は驚きの手法だった【自然農の家庭菜園】

自宅の庭で自然農の家庭菜園を始めて3年目。

始めた当初から、畑の水はけ、排水改善が課題でした。

2022年5月14日撮影 ↓ ↓ ↓

雨が降ると、畑の畝間や額縁明渠の排水が悪く水が溜まってしまうだけでなく、

さらには、お隣さんとの境界はフェンスだけで地続きで、

地面が低くなっているポイントから雨が畑にダイレクトに流れ込みます。

お隣さん設置の白フェンス ↓ ↓ ↓

畑の奥(我が家の敷地との境目)には水路があるため、

そこにうまく排水できるように工夫する必要を感じていました。

地面の高さを調節してお隣さんから雨が流れ込まないようにする必要も😅

 

自然農YouTuberさんの動画から「額縁明渠」といって、畑の外周を溝切りするとよいと学び、

見よう見まねで畑の周囲をぐるっと溝を掘りましたが、

雨水が水路に流れ込むように出口対策をしっかりしていなかったため、

溝に雨水がすぐに溜まってしまい、額縁明渠の意味があまりなかったようです。

 

「梅雨入り前に排水対策をせねば・・・」と悩んでいたところ、目から鱗が何十枚も剥がれ落ちるほどの革命的な手法にたどり着きました。

「大地の再生」という、環境再生医の矢野智徳さんが確立した環境再生の手法。わかりやすいイラストと矢野さんの思想がちりばめられた実践マニュアル。どんどん引き込まれ、付箋とアンダーラインを引きまくり半日かけて熟読しました。

近年、自分の中での大ヒットの1冊になりました!矢野智明・大内正伸著『大地の再生実践マニュアル』 ↓ ↓ ↓

「大地の再生」実践マニュアル

1.大地の再生とは?

何十年も疲弊した大地を復活させるには、「空気と水の浸透循環」が最も大切だと考えるのが「大地の再生」手法。

地中の空気が詰まって動かなければ水も動かない。

草を刈ることで風通しを良く、植物の根を細根化させて地中の空気を動かし、地面に溝や穴を掘り有機資材を入れて水脈を復活させるだけで、

大地は植物の根や菌類、微生物の力を借りて、驚くほど速やかに再生を始めるという。

特別な資材や道具は必要なく、スコップや移植ゴテ、ノコギリガマなどの道具と、炭や枝葉などのの山から手に入る有機資材を投入するだけ。

畑や農場、個人の敷地の排水対策は、やがては山林の土砂災害対策、河川の水害対策にも発展するというのです。

 

2.空気が詰まることで起こる土砂災害や水害

アスファルトで道路をつくり、コンクリート擁壁で地面を覆う現代土木では、

雨水さえも大地に浸透せず、

地中の空気が詰まってある極限に達すると大地はそのつまりを解消しようと、

崩壊(土砂崩壊)を始めるそうです。

山の斜面沿いが土がえぐれて根がむき出しになる現象は、空気が詰まったことへの大地の反応と考えることができます。

水がたまると泥が浮いてきて堆積し、水たまりが乾くとヘドロ臭やドブ臭いイヤな匂いがすることがありますよね。

これは地中の酸素がなくなると嫌気性微生物が働いて有機ガスが出る、「土壌のグライ化」という現象だそうです。

グライ土壌では多くの植物の根は呼吸ができずに根腐れを起こし、種も発芽しにくく、

草木が生えないことで土が流出しやすく、土砂崩壊などの災害も起こりやすくなります。

まるで動脈硬化した欠陥が動脈瘤を形成し動脈破裂、脳梗塞や肺塞栓を引き起こすかのようです。

 

驚くべきことに、山や土自身による自浄作用だけでなく、

獣害や虫害も、他の生きものたちによる「大地の再生」と考えることができるということ。

イノシシが土壌を荒らしているように見えて、有機ガスがたまった餌場に溝を掘って「空気通し」をしてくれ、

毛虫が産卵し葉を穴だらけにするのも、植物の「風通し」をよくしてカビ菌などの発生を防いでくれている、と考えることができます。

これは、「風の谷のナウシカ」の蟲たちが腐海の汚れた土を浄化する物語と全く共通するではないか!

と、その思想の広さ深さに驚嘆しました!

 

3.大地の再生の7つの手法

①風の草刈り―高刈りで根を細根化し地中に空気を通す

②風の剪定—自然樹形に戻し風通しを良くする

③小さな水切り―表層5㎝の水脈をつくり水路や点穴に誘導する

④水脈溝と点穴—水脈溝をつくり河川や海へつなげる

⑤抵抗柵と植栽土木—有機資材の採取によって山林の手入れをする

⑥沢や水路の再創造—川や沢の掃除で程よい流れを取り戻す

⑦仕上げはグランドカバー―刈り草や枝葉、炭によって泥こしし地面に草を生やす

 

原理と手法を理解すれば、素人でも簡単にできることばかりです。

さっそく地中に投入する炭をホームセンターで購入し、

あとは自宅にあるクワやスコップ、移植ゴテで水脈を掘り、

ノコギリガマで風の草刈り、剪定をしました。

ちょっと大きいけれど炭を水脈の底に置き、

捨てようと思っていた劣化した竹支柱や剪定した枝を折って水脈に入れていきました。

 

水脈は直線だと水の流れが急すぎて土も流出してしまうので蛇行させるとよいそう。

畑の水が溜まりやすい場所に3つの水脈をつくりました。

 

出口対策としてしっかり水路に水が流れ落ちるように高低差も意識。↓ ↓ ↓

 

これから梅雨など雨の多い時期に突入していくので、

どの程度効果があるのか楽しみです。

地面が呼吸ができて、水が滞ることなく流れることを大切にして、

畑の作物だけを見るのではなく、生き物の動き、地中の状態、敷地全体の水の流れ、水路や河川とのつながりなどの全体を俯瞰したい。

生き物だけでなく空気や水も「循環」して自然を形成しているということを改めて学びました。

「大地の再生」の思想や手法は、ガーデニング、農業、林業、災害対策などに広く応用できるものです。

そして、これからを生きる子どもたちと一緒に大地の循環の仕組みや再生を考えていけたら、めちゃくちゃ役に立つはずです。