飛紅真の手紙

フェミニストで精神看護専門看護師ブロガー、自然、アート、社会問題を綴る。

ジェンダーギャップ指数が過去最低125位の日本のヤバさ。

日本は、

「日本のジェンダーギャップ指数が146か国中125位」

という不名誉な称号を与えられましたね。

私は震えました。正直、「恥ずかしすぎる!!」「なんっって不幸!!」って思ったのです。この国に女性として生まれただけで生きづらくなるって、不幸以外の何ものでもないじゃないですか。

TVや新聞は見ないのですが、唯一観るお気に入りのNHK番組の一つ、さまざまな専門家が1テーマを10分間で論じる「視点・論点」で知りました。私は毎年この順位を注視しているのですが、ついに今年日本は自国史上最低ランクをたたき出したのです。

先進国では最下位。もちろんアジアでも最下位。指数だけみると横ばいなのに順位を年々落としているのは、世界各国対策から取り残されているから。

www.nhk.or.jp

ジェンダーギャップ指数は4項目で評価されます。

以下が、146か国中の日本の順位。

教育➡47位

健康➡59位

経済参画➡123位

政治参画➡138位

 

1.頑張っても女性がトップになれない国

「政治参画」が138位/146位って・・・、もはや世界最下層、底辺!!

国会議員の男女比0.1%、閣僚の男女比0.09%、過去50年の女性首相ゼロ。「日本にはもはや男性しかいない」のではないでしょうか。世界からそう思われてもおかしくないほど、マジでヤバいレベルです。

経済参画は、平均賃金男女比(75位)、所得男女比(100位)、管理職男女比(133位)などで産出されますが、女性管理職比率なんてもう目を覆いたくなるレベル!!「やっぱり日本には男性しかいないんだ〜」って失笑したくなります。

先進国なのに深刻な女性差別があるって、ものすご~く歪んでいると思います。「女性が搾取されて先進国として成り立っている国」と世界から揶揄されてもおかしくないんじゃないでしょうか。

政治も管理職もトップが男性ばかりを占めているうちは、女性の意見は届かないし反映もされないですよね。その管理職の男性を家庭で支えているのが女性。

「女は何も考えず男を支える」「女は前に出るな」といった家父長的価値観の根深いことよ。

でも私は幸いにも、高校時代からずっと「女性がトップに立つこと」がごく身近でした。

私が入学したのは、どこにでもある地方の男女共学の県立普通高校。私が入学した年に生徒会長に立候補したのが、史上初の女子でした。「史上初の女子生徒会長」ということに高校は明らかに沸いていましたね。そしてその先輩は見事当選。

自分で色々決められる高校生活を送るぞ!と意気込んでいた私は、1年の終わりに生徒会役員に立候補し、女子生徒会長の先輩と一緒に活動することができました。美人でさっぱりとした性格で自分の意見をはっきり表明できるまさに憧れの女性。一部の生徒からのやっかみもありましたが、どこ吹く風。

この時に痛切に感じたのが、「自信と信念があれば女性もキャリアを切り開いていける」ということ。

でも裏を返せば、高校時代までの私は「生徒会長=男性」「トップ=男性」「女・子どもは黙ってろ」という、まさにジェンダーバイアス(性別についての偏見)がこびりついて育ったということでもあります。

そもそも、人一倍頑張らないと女性がトップになれない国、トップに手を挙げると足を引っ張られる国って、どんだけ女性の機会が奪われる国だよ、と当時の私にいってやりたい。

その後、私は看護の道へ。つまり女性が8〜9割の「女の園」。看護系大学、病院、看護系大学院・・・どこもトップが女性という特殊な環境を経験してきました。

自分自身が単身赴任して夫に子どもを預けて働く大学教授や学部長、学長。病棟師長や看護部長も夫や両親に全面協力を受けたり、シングルマザーだったり。キャリアを自分で切り開いて家事育児と仕事を両立させてきた女性たちばかりでした。

けれど、残念なことにこれは日本では「看護の世界」に限ったことなんですよね。看護の世界から一歩外に出れば、トップはほとんどが男性。女性はパートや契約社員も多く低賃金。育児家事は完全なワンオペ。この落差に「ここは別世界かしら?」と疑いたくなるほどです。

 

2.女性に大学進学をあきらめさせる国

「視点・論点」でも問題視されていたのが、2022年では1位だったはずの「教育」に、今年新たに評価項目に加わった「高等教育就学率」105位!!というこのヤバさが、教育1位から47位へと足を引っ張り大きく順位を落としました。

つまり、女性の大学進学率の低さ、それも「大学・大学院」ではなく「短大・専門学校」に進学する女性が非常に多いということ。

優秀な学生も親や周囲から「短大にしなさい」「女の子だから勉強はほどほどでいいから」「女の幸せは結婚だよ」と、幼いうちから言い聞かされ、あきらめさせられてきた女子たちが多く存在するということ。

それって・・・それって・・・「勉強や仕事なんていいから家庭で夫や子どもや親の面倒をみなさい」と同義なんですから、そりゃあもう女子にとっては地獄です。

私もまさにその一人でした。悲しいかな・・・両親や周囲の人たちは、悪気があって助言しているのではなく、「私の将来」を案じて助言してくれているんです。

みんな家父長制の価値観にがんじがらめだから、そのレールから少しでも外れ「変わり者」になる子どもを不憫に思い、そんな身内が出ることを恐れるんです。

私も、20代後半で病院勤務をやめて大学院に社会人入学を決めた時には、「結婚が遠のく」と心配され、決して喜ばれませんでした。

これが男性だったら「キャリアアップするなんてかっこいい」「収入アップしてモテそう」とか言われて、全く違った反応だったでしょう。これが日本の高等教育における男女格差の現実。

 

こんな日本が怖い、怖すぎる。

そう思う私のほうがおかしいのでょうか?

この状況に疑問を持たない、見て見ぬふりをする、思考停止しながら受け入れて生きるって、悲しすぎます。

この惨劇のようなジェンダーギャップ大国に生まれ、この世界順位を目の当たりにしてもなお、「日本に住んでいる限りしょうがない」「どうせ変わらない」はもう通用しません。そんな大人はもはや子どもたちから「老害」扱いされ恨まれます。

私は男の子と女の子を育てていますが、少なくとも自分の子どもたちは「男だから」「女だから」なんて考えなくて済むように育てたいです。

学校や友達から性別を理由に何かを強制されたり制限されたりしたら、「その価値観、昭和かよ。性別なんて関係ない、あなたはあなた。自由に生きろ」って言い続けます。

ここで一旦、自分自身のジェンダーバイアス(性役割に偏見がないかどうか)を棚卸してみないといけないと思います。

日頃の会話の中に「女」「男」というワードが入り込んでいないかどうか。

進学、就職、結婚、家事、育児、介護に「女はこうあるべき」「男はこうあるべき」という「当たり前」の前提がないかどうか。

性別を理由にあきらめたり、我慢したり、機会が制限されることがないかどうか。

大人である私たちが家庭内や職場内での「会話」、家事育児介護や就学や就業に対する「考え方」を変えていかないと、ジェンダーバイアスは世代を超えて連鎖して、同じように苦しむ子どもたちを再生産することになります。

それじゃ、いつまでたっても生きづらい世の中が変わらない。日本では女性が間違いなく社会的弱者だし、人口の半分を占める女性が「マイノリティ(少数派)」っていうおかしな、ねじれ社会は変わらない。

・・・つまりそういった社会は、女性以外のマイノリティにも優しくない社会でもあるっていうことです。

そろそろ私たちの時代でストップしないと、まじでヤバいことになります、日本。

コチラにも男女格差について書いています~ ↓ ↓ ↓

www.hikoushin.com

こうしてガックリきた時には、上野千鶴子先生の言葉で力強さをチャージするのです。↓ ↓ ↓

女の子はどう生きるか 教えて,上野先生! (岩波ジュニア新書)