千畳敷カールのお花畑レポートのつづきです
西遊歩道から北遊歩道へ向かいます。
まもなく、今回一番のお目当てのクロユリが姿を現してくれました
乗鞍岳でも見ることが叶わなかったクロユリ。
ここ千畳敷の遊歩道では多くみられました。
日当たりのよい湿潤な、亜高山帯上部の広葉草原に多くみられる花です。
ユリの名こそつきますが、ユリ科ではあってもバイモ属でユリの仲間ではないそう。
自然界で、こんなに黒い色で咲く花というのはごく少ないそうです。
決して派手ではありませんが、シックで気品のあるたたずまいです。
さあ、先へと進みます。
雲の流れも速いですね。
雲に包まれると、あっという間にひんやりします。
高山帯にだけ生育するハイマツ。
亜高山帯上部に「ハイマツ帯」と呼ばれる独特な植生帯を形成します。ここ、千畳敷全域にも分布しています。
草地には多く分布しているムカゴトラノオ。
イブキトラノオ属だけあってイブキトラノオによく似ますが、白い花序の下にムカゴ(栄養分を貯蔵した芽のこと)をつくり、下に落ちて繁殖するのが特徴。
また、イブキトラノオは亜高山帯に生育しますが、ムカゴトラノオは高山帯、それもハイマツ帯より高所の風衝草原に生育します。
風などにうまくムカゴを飛ばせて繁殖域を広げてくのでしょうか。同属であってもそれぞれの生育場所に適した生存戦略です。
紫の花3連発です。
タカネグンナウフウロ。
関東の低山でも見かけます。
ミヤマリンドウ。
日本固有種
ハイマツ帯に多く生育します。
チシマギキョウ。
ハイマツ帯よりも高所の岩場割れ目や風衝草原に生育します。
同属のイワギキョウにもよく似ますが、花に毛が生えているのが見分けポイントのようです。
ウサギギク。
ハイマツ帯の雪田周辺に小群落を作ります。
和名の由来は、対生する葉をうさぎの耳に例えたと言います。
チングルマの花後。
高山帯の雪田に特徴的な植物で、大群落をつくります。
花後は白い毛を生やし、風によって種を飛ばすそうです。
オオヒョウタンボク。
日本固有種
亜高山帯の雪崩斜面に生育します。果実はひょうたん形だそう。
ヨツバシオガマ。
ウメバチソウ。
千畳敷の遊歩道を歩いただけでも、これだけの亜高山・高山植物に出会うことができました。
信州駒ヶ岳・宝剣岳まで足を伸ばせば、チョウノスケソウ、ヒメウスユキソウといった中央アルプス特産の高山植物に出会えるでしょう。
夢は膨らむばかり。
出会えるその日まで・・・