飛紅真の手紙

フェミニスト&ワーママブロガー、自然、アート、社会問題を綴る。

映画と社会批判

百獣の王はもはや人間?『ライオン・キング』では描かれない、子どもに教えたい人間の残酷さ

『ライオン・キング』はで描かれるライオンは「百獣の王」なんて呼ばれもしますが、動物全体からしたら、百獣の王は人間の方だよねと思ってしまったのでした。今回はなんかちょっと途方もない人類の進化のお話です。 長編アニメ映画のリバイバル上映を観てき…

大自然の摂理とは真逆な『ライオン・キング』を観ていつも疑問に思うこと。

ディズニー長編アニメ『ライオン・キング』30周年記念リバイバル上映を子どもと観てきたんですが、いや~30年前のアニメ映画とは思えない映像美と迫力に正直驚きましたよ。文句のつけようのない歴史に残る作品。 実写映画PR用であろうクリアファイルをもらい…

ボディ・ホラー映画がたまらなく好き!(その4)「教育虐待と摂食障害」を描く映画『ハッチングー孵化ー』

こんなに美しいホラー映画ある?ってくらい美しい北欧フィンランドを舞台に、ゾッとするくらい残酷な母娘関係を描いたボディ・ホラー映画があります。ラストまで、ゾッとするくらい美しかった・・・。 『ハッチングー孵化ー』(2022年) 配信はコチラ ↓ ↓ ↓ …

ボディ・ホラー映画がたまらなく好き!(その3)「性のめざめ」を強要する社会の圧を描く映画『RAW~少女のめざめ~』

1度観て思わずDVDをポチっと購入してしまったほど惚れ込んだボディ・ホラー映画。 ジュリア・デュクルノー監督作『RAW~少女のめざめ~』(2016年) このメインビジュアルもめっちゃ好き。 RAW 少女のめざめ [Blu-ray] ギャランス・マリリエ Amazon 「いつも…

ボディ・ホラー映画がたまらなく好き!(その2) 「精神医療の傲慢さ」をえぐり出す映画『ザ・ブルード/怒りのメタファー』

デヴィッド・クローネンバーグ監督自ら脚本を書いた70~80年代初期作品の中で、一番好きなのが『ザ・ブルード/怒りのメタファー』。原作ものよりも、監督自らが考えた物語の方が唯一無二の素っ頓狂さでめちゃくちゃ面白いのです。 配信はコチラ ↓ ↓ ↓ ザ・…

ボディ・ホラー映画がたまらなく好き!(その1) プラスチックと人間の共存を描いた『クライムズ・オブ・ザ・フューチャー』

ボディ・ホラーって知ってますか?簡単に言えば、寄生虫や病気、突然変異、異形の出産など、人体が変容していく不安や恐怖を描いたホラーのサブジャンル(細分化された分野)で、70~80年代に盛んに製作されたそうです。 幼少期がホラー映画全盛期で、子ども…

女性だとなおさら?「出る杭は打たれる」千利休と豊臣秀吉の関係から人間の底知れぬマウント心理を考える

「出る杭」だった千利休は豊臣秀吉の怒りを買い切腹させられた千利休を描いた映画を2本観て、光栄にも(?)から「出る杭」として打たれっぱなしだった昨年の自分に思いを馳せずにいられません。男性間での嫉妬と羨望も怖いけれど、男性から女性への場合はさ…

解離性同一性障害(DID)を描く映画『スプリット』と『フランキー&アリス』との決定的な違い

解離性同一性障害(DID)は、かつて「多重人格障害」として知られ、誤解や偏見を受けることが多く、日本では滅多に診断されることのない精神障害です。DIDを描いた二つの映画を比較して「描かれ方でこうも違うものか!」と驚嘆しました。 1.誤解と偏見を受…

『あのこは貴族』から「都会と地方」という偏見について考える。

私は「田舎」という言葉が大嫌い。経済格差や教育格差があるのはわかりきったことなのに、それでもまだ「都会」「田舎」と出身地で優劣をつけたがる偏見が透けて見えるから。地方生まれ地方育ちの私が指摘したところで「結局は田舎者の負け惜しみ」とさらに…

『82年生まれ、キム・ジヨン』から女性のキャリア断絶と産後うつについて思うこと

「ワーキングマザー(ワ―ママ)」「ワンオペ育児」といった言葉が早く死語になればいいと思う。早くそんな言葉が要らない社会になればと思いつつ、悲しいことにまだまだ通用するからこそ、嫌悪感をバネにあえて使っています。 ずっと観たかったフェミニズム…

ディズニープリンセスはジェンダー問題と女性の自立を考える最高の教科書

ディズニー映画をまともに観たことがなかった私が、ディズニープリンセス好き5歳長女と一緒にディズニープリンセス映画13作品を観たところ、「一人ひとりの生き方がめちゃくちゃ示唆深い!」とがぜん興味がわき、ディズニープリンセスと女性の自立について、…

トランスジェンダーを描く『ミッドナイトスワン』から考える、社会的弱者の立場を「わかる」とは自分の中の当事者性に気づくこと。

「私って気持ち悪い?」「何で私が!」「何で私ばっかりこんな目に遭わなきゃいけないの・・・」 これは、トランスジェンダー女性(MtF(male to female=男性性から女性性へ)を描く映画『ミッドナイトスワン』でホルモン治療に苦しみながら、むせび泣く主…

赤ちゃんポストと女性の生きづらさを考える映画『ベイビー・ブローカー』

私は「赤ちゃんポスト」肯定派です。なぜなら、産んでもどうしても育てられない事情は必ずあり、生後0日死亡(新生児殺)を防げるから。 つまり、母親側も子ども側をも守ることになる最後の方法と考えるからです。 1.映画『ベイビー・ブローカー』 2022年6…

気に入った映画は3回観に行く私の習慣から映画館で映画を観ることの価値を考える。

7月14日より公開の10年ぶりとなる宮崎駿監督作「君たちはどう生きるか」を観てきました。10年楽しみに待って、ついにこの日が来た感じです。 全体的な感想としては、 ・前半部分の夢野久作的な純文学的なホラー感が素晴らしかったこと。 ・そのままホラー感…

家族や社会の犠牲になった女性の生き方とは。海外に売られ売春を強要された少女たち「からゆきさん」。

からゆきさん。 「唐行きさん」=外国(唐天竺)に働きに行く意味で用いられた九州の言葉。 江戸末期から昭和にかけて、海外に性的人身取引(売春や性的搾取が目的の人身取引)されてきた多くの女性たちがいたことを、1冊の本をきっかけに知りました。 1.…

ヤンヨンヒ監督の映画『かぞくのくに』を観て北朝鮮帰国事業から考えたこと

自分のことすら自分で決める権利がない社会が存在します。 そんな社会にもし自分が生まれたら、どう生きるだろう?逃げるのか?生き延びるのか? 北朝鮮の帰国事業によって離散した家族のドキュメンタリーを観て、涙が止まらなかった私。 ニュースや教科書で…

実父からの性虐待サバイバーを描く映画『マイ・ブロークン・マリコ』からトラウマインフォームドケアを考える。

胸をわし掴みにされ、離してくれないような映画と出会いました。 マイ・ブロークン・マリコ 永野芽郁 Amazon 『マイ・ブロークン・マリコ』 監督:タナダユキ 原作:平庫ワカ 偶然アマゾンプライムで流れたCMで、暴力を受けたらしき女性をめぐる物語と知り検…